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拙著「兼業FX」へのご質問に答えて

5月19日(土)

twitter(@maru3rd)に拙著をお買い上げ頂いた「浜ちゃん」さんらご質問を頂きました。
twitterの140字で説明するのは無理あるので、こちらでご説明いたします。
浜ちゃんさんは、丁寧にもこのブログにも同じコメントを頂いています。
ありがとうございます。


コメント欄から引用すると、
=====
質問です。
twitterにも投稿させて頂いたのですが、こちらにもメールさせて頂きます。

1日2回のチャートチェックで手堅く勝てる兼業FX
を購入させて頂きました。
興味深く購読致しております。

P79の下から4段目「高値である8月11日」とありますが、何故その直前の8月2日辺りが高値にならないのでしょうか?
=====
というものです。

まずは、拙著「一日2回のチャートチェックで手堅く勝てる兼業FX」をご購入頂き、ありがとうございます。

書籍は、誌面という物理的制約がありますし、締め切りという著者にとっては精神的な締め付けもあり(笑)ブログやツイッターのように自由には書けない分がありますので、不明な点は今回のようにコメント欄にご質問頂ければと思います。


さて、拙著をお読みいただくとわかりますが、私は相場の値動きは、売り手と買い手の力関係でのみ決まると考えています。
買いが売りより多ければ、値段は上がり、逆なら下がる、ということです。

私がダウ理論で見ているのも、相場の買い手と売り手の力関係です。

トレンド相場も、一気にトレンドが続くのではなく、その時間軸の中で、レンジとレンジブレイクを繰り返すことでトレンドになっています。
そして、そのレンジが逆方向にブレイクすると相場は転換します。
これが相場の転換点です。
転換点は、レンジを逆方向にブレイクするポイントとしてみるとわかりやすいと思います。

以上の基礎知識の上で、8/3から8/24のGBPUSD日足を見てみましょう。
gbpusd d
8/3が高値ということは、ここで買い手より売り手が勝ったということです。
だから相場は下がり始め、その売り手と買い手が均衡したところが高値になります。

しかし相場は波のようなもので一気に8/24まで下げているわけではありません。

下落が止まる場面、つまり下げ止まって戻される場面が何度かあります。
まずは8/8です。
8/9安値は8/8安値を下抜けていないので、8/8安値の時点で買い手が勝ったことになります。
ここで、8/8高値を上抜けると少し上に行きますが、ここも上抜けず、8/8の高値と安値のレンジで売り手と買い手が攻防します。(紫色のレンジ)

しかし、このレンジは8/11に8/8安値を下抜けてレンジブレイクします。
売り手が勝ったわけです。
8/8高値を越えなかったということは、8/8高値の上には強い売りがあることになります。

そしてレンジは8/11と8/18のレンジに移行します。(空色のレンジ)

このレンジも8/22に下抜けして、8/11の上には売りが強いことが示されます。

そして8/24安値を付けます。
ここは8/21と8/24でレンジになっています。(橙色のレンジ)

ということは、8/21を上抜けると、レンジを逆向きにブレイクするので、トレンドが転換、つまり上昇に転じます。


ただ、ここからは冒頭にも書いた大人の事情ですが(笑)、書籍に添付する図表にあまり細かなことを書き込むと、図表が小さいので、説明が難しくなります。
これはブログやWEBとの違いで、物理的に仕方ありません。

そこで、拙著では、8/21ではなく、見やすく、わかりやすいであろう8/11で解説しています・

また8/21ではなく、8/11にしたのは、実際の私のトレーディングにも関連しています。
最初の相場転換では、5月のドル円のように上手く転換しない場合もあり得ます。
慎重を期するなら、さらに上の8/11を使う方がわかりやすくなります。


また、ちょっと言い訳ですが、そもそも、ご質問の79ページは、3章のダウ理論の話ですが、76ページにあるように、「値動きにはすべての要因が織り込まれている」というお話をしています。

そして、織り込みの事例として、2017年9月14日のBOEのアクションと、値動きを説明しています。
BOEは利上げも何もしていないのに、ポンドは買われ、GBPUSDは上昇している、という話ですね。

私は、9/14のBOE開催前からポンドは買われていて、それがチャートには織り込まれている、つまり8/24を底に上昇している、という説明をしたいわけです。

このとき、79ページでは、8/11高値を上抜けた時点からポンドドルは上昇になっているから、その流れの中で9/5に8/11高値を上抜けたことで、すでに上昇の流れができているから、9/14のBOEが利上げしなくても、GBPUSDは上昇を続けた、という趣旨を書いています。

なので、厳密にテクニカルを細かく追及していません。
これには、先ほどの大人の事情でわかりやすくしよう、という意図もあります。

以上が、8/11高値を選択している理由です。


では、浜ちゃんさんの8/3ではダメかというと、そうではありません。
8/3はもっと大きな動きの高値ですから、ここを越えたタイミングでロングにする、というのもアリだと思います。

ここで、GBPUSDの週足を見てください。
gbpusd w
週足では、8/3から8/24への下落の間位に、日足で示した8/8、8/11、8/21という高値はありません。
つまり、週足では8/3と6/21のレンジ内の動きなので、レンジの高値である8/3を上抜ければ上昇と考えることができます。

前述のように相場は波なので、波は時間軸によって大きさがちがいます。
このため、日足では、8/3ではなく、その前の波の頂点を転換点としているわけです。

以上でご理解いただけるでしょうか。

なお、私はこうした事例を、twitterや西原メルマガで書いています。
特に西原メルマガは有料なので、チャートを添付して毎日配信しています。
またオフ会などもあるので、文字では伝わりにくいことも、お話しすることで伝わりやすいのではないかと思います。
書籍同様に1日1回のチャートチェックと配信をしているので、兼業トレーダーの方の参考になればと思います。

ではまた



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勉強になります!

田向さん,

先日USDCADの質問で温かくも厳しいご指導を頂いたKenchanです.
今回の田向さんの投稿を拝見し,とても勉強にまたなりました.
まずはどうしてもお礼を書きたくなり,コメント欄に投稿させて頂きました!

このGBPUSDのチャートは,私も気になっていたチャートでした.
「8/11を戻り高値として9/5に転換点を上抜け」と解釈すると,9/14のBOEの前に押し安値形成→高値更新がなく,ダウ理論による上昇トレンドが未発生です.9/14のBOE前にロングポジションはとれない?と思いました.

私は勝手に,
①8/18を戻り高値ととると,8/28にこれを上抜け.以後8/31で押し安値→9/1で高値更新?
②田向さんは「8/11を戻り高値として9/5に転換点を上抜け」としている.田向さんほどのエキスパートなら,9/5の転換点越えの地点で押し安値形成→高値更新を待たずとも,経験から「上に伸びる!」と判断できる?
なんて考えました.

ブログの記事を読んで,このGBPUSDチャートでのダウ理論の読み方について,霧が晴れてきた気分です!
私の①の考え方も,大間違いではなかった...ということでしょうか?

こういったダウ理論式のチャート分析を,私はたくさん勉強したいです.
田向さんのご叱責に従い,データをとることを始めています.
しかし「高値・安値」「押し安値・戻り高値」の判断が不正確不安定ならば,データも怪しくなってしまいます.
小学生の計算ドリルのように,田向さんのチャート問題をたくさんとけたら,とても勉強になると思いました.

日々お忙しいとは思いますが,是非!お願いします.
本が出たら,私買います!

さて,追加でおうかがいしたいことがあります.

私は田向さんの8/21戻り高値を,1本前の8/18と解釈しました.MT4チャートで見てみると,8/21高値よりも8/18高値の方が高かったからです.
田向さんが8/21を戻り高値と選んだ理由は,8/21のローソク足がディナポリの3×3DMAに絡んでいるからでしょうか?

「安値や高値を探す3×3DMA」と本にありますが,だからでしょうか?

Re: 勉強になります!

Kenchanさん
こんにちは

質問にお答えしますね。

>「8/11を戻り高値として9/5に転換点を上抜け」と解釈すると,9/14のBOEの前に押し安値形成→高値更新がなく,ダウ理論による上昇トレンドが未発生です.


まず、ダウ理論の形にとらわれているように感じました。
チャートに示される、売り手と買い手の動きを考える事が大事だと思います。
また押し安値形成が高値更新の条件ではありません。
高値が更新するから、押し安値が決まります。
拙著に詳述していますが、ここで迷いやすいのでご注意下さい。


これまで売り手が抑えていた8/11高値を上抜けた時点で、売り手と買い手の勢力が反転しています。
だから相場は上昇します。

そのうえで、押し安値を下抜けずに高値更新が続くと上昇トレンドになっていきます。

相場の反転と、トレンドの形成は同時ではありません。
まず反転し、その方向への動きが続くとトレンドになります。



>しかし「高値・安値」「押し安値・戻り高値」の判断が不正確不安定ならば,データも怪しくなってしまいます

これはとても重要なことで、その通りです!
実は何年もFX取引をしているのに、高値や安値がわからない、という人は結構多いようです。
テクニカルの形とか、誰かが言ってたとか、枝葉部分だけを熱心に学んでいるのに、もっとも基本的なことを把握していない方は、案外いらっしゃるようです。

それはそうした練習をしていないからかもしれません。

私は「FXは技術」と考えているので、技術習得すれば、誰でも利益が得られるはずだと思っています。
しかしそのためには、反復練習が欠かせません。

自分の学生時代を振り返っても、授業を理解しているかどうかはテストや問題集で試されますし、そうしたアウトプットをすることは理解を深める上でとても重要だと考えています。
インプットするだけでは、技術は身に付きにくいのです。

例えば、スポーツでも、語学でも、本やブログを読むだけでは、何が正しいのかわかりません。
コーチについたり、テストを受けたり、実際にやりながら(アウトプット)修正することが技術習得には不可欠だと思っています。


こうした視点から、試験的に友人に高値安値を見つけたり、そこからトレード戦略を考えるタートルズのようなことをしており、教え方のノウハウを蓄積しているところです。
但し、現状は、あくまで個人的なものです。

もし、メルマガ読者の方のご要望があれば、事務局が検討すると思うので、まずはメルマガ事務局へ相談してみてはいかがでしょうか。


>さて,追加でおうかがいしたいことがあります.
>
>私は田向さんの8/21戻り高値を,1本前の8/18と解釈しました.MT4チャートで見てみると,8/21高値よりも8/18高値の方が高かったからです.
>田向さんが8/21を戻り高値と選んだ理由は,8/21のローソク足がディナポリの3×3DMAに絡んでいるからでしょうか?

これは、単にブローカーによるプライスの違いです。
チャート提供して頂いたYJFXのMT4では、8/21の方が8/18より高い、というだけのことです。


以上です。

また何かあれば、お気軽にコメントしてくださいねi-179i-88

ダウ理論の形にとらわれない解釈

田向さん,ありがとうございます.

>「8/11を戻り高値として9/5に転換点を上抜け」と解釈すると,9/14のBOEの前に押し安値形成→高値更新がなく,ダウ理論による上昇トレンドが未発生です.

上記について「ダウ理論の形にとらわれている」とのご指摘を受け,私なりにチャートの解釈を再び考えてみました.

転換点を田向さんが採用した,「見やすく,わかりやすい」かつ「慎重を期した」8/11高値とします.
すると9/5にこの転換点を超えたので下降トレンドが崩壊.
そのあと値動きを追うと,9/8までローソク足は高値を更新し,安値が更新されない状態です.
9/6に9/5高値を更新したところ,ここで転換点通過後の上昇トレンド発生点とダウ理論で定義付けてよいのでしょうか?

ただ気になっていることがあります.
いろいろな方がダウ理論の解説をされていますが,チャートの高値・安値を線で結んで高値安値の更新を説明されています.
田向さんの「兼業FX」の本だと,ちょうど99ページの図19の様にです.
今回の私の解釈だと,転換点通過とトレンド発生が,1本の直線の途中で並んでしまいそうです.
こういうダウ理論的トレンド判断はありなのでしょうか?

Kenchan

Re: ダウ理論の形にとらわれない解釈

Kenchanさん
こんにちは

さて、ご質問頂いていますが、
Kenchanさんの考える、ダウ理論のトレンドとは何ですか?
また何のためにトレンドを判断されるのでしょうか?

議論のための議論になっている気がしており、
私はこうしたことに意味を感じません。

何のために、何を私に聞きたいのかがわからないのです。
もしご自身のトレードの考え方を構築したいのであれば、
それは自分自身で考えることで、私を含め誰かが、
「これが正解」というものではないと思います。

いかがでしょうか




トレンド判断を行う理由

田向さん,
コメントありがとうございます.

私にとってのトレンド判断とは,順張りでどこでエントリーを試みるか? その決定のためにあります.
具体的には,上昇トレンドならばまず下落トレンドが転換点を抜けて崩壊し,安値を更新しないまま高値を更新して上昇トレンドが確定する点を考える.
ここでエントリーを,押し安値の下を損切りラインとして試みる.
そういったトレードプランを考えた訳です.

今回は9/5の転換点上抜けのあと,どこで上昇トレンド確定ととるか分からず,知りたかったのです.

何かお忙しい中,申し訳ありませんでした.

Kenchan

Re: トレンド判断を行う理由

Kenchanさん
こんばんは

どうもKenchanさんと、私で考えが違うようで、かみ合わないので
前のKenchanさんのコメントも読み直してみました。

Kenchanさんは、「上昇トレンドだから買う」とお考えのようですが、
これが違うのだと思います。

それは、「押し安値形成」に注目していることからも感じました。

私が形にとらわれている、と感じたのは、こういうことだと思います。
・・・違ってたら、ゴメンなさいi-229

上昇トレンドだから買う、のではありません。
買い手が売り手より勝るから買うのです。

押し安値ができるから高値更新するのではありません。
高値が更新するから、押し安値が決まるのです。

拙著には、この辺についても記述しているので、
ご興味があれば、何度か読み直して頂くと理解が深まると思います。

ちなみに今回のポンドドルの場合、
書籍では8/11で説明しているので、これで説明すると、
8/11高値を9/5に上抜けた時点で下落トレンドは終了し、
相場は上向きになります。
だから、ここで買いポジションを持ちます。
そしてSLは8/31安値の下に置きます。
これだけで、取引ができます。

文章からは、失礼ながら取引経験がまた少なく、
より確実なものを求めているように感じました。
・・・これも違ってたら、スミマセンi-230

もしそうであれば、相場に確実なものはありません。

方向性と損切りが決まれば、リスクが明確になります。
リスクがわかれば、後は取引するだけです。

そして取引結果の蓄積がご自身の相場判断の基となります。
・・・この点は、拙著i-70「臆病な人でも勝てるFX入門」をご参照下さい。

理論も大切ですが、取引データを集積することをお勧めします。
過去チャートを見ても、現実の取引とは違うので、
経験が重要だと思います。

そして・・・
相場は努力を裏切りませんi-197
Kenchanさんがいろいろ考え抜き、トレードした数だけ
相場で利益を得る力がついていくと思います。

但し、最初は最小ロットでデータ収集されることをお勧めします。
相場で資金を失うのは簡単ですが、収益を得るのは大変ですから。


以上です。

P34図14とP41図17に関しての感想

FX初心者です。先生の本を拝読して技術を磨いているところです。
次の感想を述べさせて頂きます。
1、p34図14
膠着の図をたしたらどうですか?
真ん中売買勢力均衡膠着の図を入れたらより分かりやすくなるかなと思います。
売り手=買い手→膠着

2、p41図17
売り手の絵と買い手の絵を入れ替えたらいかがですか?
チャートと一致しますので、より分かりやすくなると思います。

あくまでも初心者の私の感想です。恐れ入りますが、言わせて頂きます。
先生と先生のこの本に出会えて本当に良かったと思います。
FX業界に入って損して怖くなって嫌になって迷ってしまった自分がこの本に救われました!
本当にありがとうございます!

Re: P34図14とP41図17に関しての感想

ryoさん

拙著をご購入頂き、感謝です。
また今回は具体的ご指摘を頂き、重ねて御礼申し上げます。
読者の方からご意見を頂けると、より多くの方にわかりやすい本を作れます。


> 1、p34図14
> 膠着の図をたしたらどうですか?
> 真ん中売買勢力均衡膠着の図を入れたらより分かりやすくなるかなと思います。

これ、いいアイディアですね。
確かにそう思います。
編集者にも連絡して共有させて頂きます。


> 2、p41図17
> 売り手の絵と買い手の絵を入れ替えたらいかがですか?
> チャートと一致しますので、より分かりやすくなると思います。

はい、ここは私も編集者といろいろ意見が分かれたところで、
図表で簡略化して伝えるというのは、難しいところですよね。
改めて、検討してみますね。


読者の方の「生」のご意見は、とても参考になります。
私もFXを始めた当初、いろいろな本を読みましたし、右往左往しました。
ですので、本を書く機会を頂いたからには、
個人投資家の方の参考となる良い本を作れたらと思っています。

ではまたi-88

兼業FXのp166図12時について

田向さん こんにちは。
著書3冊繰り返して読ませていただいています。

兼業FXのp166 図12について質問があります。

高値10/13で、安値10/6とあります。

私としては、10/12が安値ではないかと思っています。なぜなら、10/11は10/12の安値を切り上げているためです。

10/6月安値の理由を教えていただけないでしょうか。

いつも疑問に思う場面があります。
高値が確定し、安値を探すときです。
高値の1本前が、さらに1本前との包み線だったときです。ちょうど質問のシーンです。

以上、よろしくお願いします。

Re: 兼業FXのp166図12時について

なかよしさん

コメントいただき、ありがとうございます。
また拙著を3冊もお読み頂き、感謝です。

ご質問を頂きましたが、こちらの個所はよくわかりませんでした。
>なぜなら、10/11は10/12の安値を切り上げているためです。

おそらく、ミスタイプと思いますので、
なぜ10/12を安値をしなかったのか、という点についてお答えさせていただきます。

この点の回答としては、①書籍としての内容や位置づけの問題
②ダウ理論日足で見た場合の問題、
③理論だけで考えた場合、の3つについてご説明します。
なので、長文ですi-229



まず①についてですが、
この拙著「兼業FX」p.166図-12は、p.167本文で説明しているように流用しています。
元は、p.77図-5で、この3章4では、「値動きにはすべての要因が織り込まれる」という
テクニカルの考え方の説明をしています。
またp.166は5章でディナポリの解説をしていて、
この項目8は、ディナポリだけでは手を出さずに、値動きを見よう、という項目です。

このため、元の3章もこの5章も、レンジや値動きの説明をしているわけではありません。
レンジと書かれているために混乱させていると思いますが、
ここは相場の壁と書く方が適切な部分と思います。

本書(兼業FX)は当初から3冊シリーズで出版する予定ではなく、
おおまかなな説明となっている個所もあり、これらの図表はそうした部分と言えます。

結果として現在は3冊シリーズになっているので、3冊目では
「壁」という語を用いて、転換点を含むレンジと区別するようにしています。



次に、②この時のGBPUSD日足のレンジは、
9/20高値=1.36502と、8/31安値=1.28481となります。
つまり、これらの図表でレンジとして示した10/6安値と10/13高値は
理論的に正しくは日足のレンジ内にあります。
10/6安値も10/13高値も相場の転換点となるレンジの高値安値ではありません。
ということは、10/6も10/12も安値として重要ではない、ということです。



③以上のように、この個所は日足のレンジではないのですが、
「壁とレンジ」でも記述しているかと思いますが、
現実にはこうした値動きもトレードに利用します。
ただ、すこし判断が難しくなります。

この点は、なかよしさんがお気づきのように、包み線であることも関係します。
上昇や下落の動きの中で包み線が現れると、ダウ理論の片方の条件が欠けることになるからです。

このため、この図表についても厳密に理論に従えば、10/12安値でもいいと思います。
ただ、私はこの図表の場合、やはり10/12を安値とは考えません。
つまり、10/12安値の下で売ろうとは考えないわけです。

なぜかというと、
(1)日足は8/31と9/20のレンジ内なので、
10/12を下抜けても、10/6があり、その下に8/31があります。
(2)また、10/12は日足では安値ですが、週足では足の中にあります。
一方10/6は日足安値であるとともに週足でも安値であり、
ここ(10/6)を下抜けた方が下げる動きになりやすいと考えます。


この点は、厳密なダウ理論に従わずとも、視覚的にチャートを見た場合でも
10/12より10/6の方が日足の安値として意識する人が多いだろう、
よって相場が動きやすいポイントだろう、ということでもあります。

実際その後は、兼業FX5章の本文にあるように11/3安値も10/6を割らず、
この10/6が安値として相場が意識していた、ということになります。

すると、8/31安値や、その前の8/24安値から、
10/6と大きな波の安値を切り上げています。
このため、9/20高値が上値を抑えているが、
全体として買い手が強く上昇が続きやすい、と考えられます。

実際、これは時間軸を週足に切り替えると、
週足はこうした動きになっています。

以上のことから、兼業FXでは10/6が安値になっています。



なお、ダウ理論を使って安値や高値を探すのは、
相場の売り手と買い手がどちらかへ傾き、相場が動きだすポイントを探しています。


相場がどこで動くかを推測するツールが高値安値であって、
高値安値だから動くわけではありません。
このため、値動きに影響する高値安値を探す技術が重要だと考えているわけです。

また、拙著をお読みいただく多くの方は、なかよしさんほど精読しませんw
amazonの書評を見ることがありますが、精読されている方もいれば、
表面的に読んでいる方も多数いらっしゃることがわかります。

ですが、本は大人の事情である程度は売らなければならないので、
ここまで細かなお話はなかなかできませんi-182

そこでtwitterやブログでお答えすることとしています。

本当は、個別に細かく会話するなどしてやり取りしたほうが
ニュアンスや誤解が少なくなるのですが、この点は書籍であるため
仕方ないところと、ご容赦頂ければと思います。

ご質問の最後にありましたが、
包み線、はらみ線と、上ヒゲ下ヒゲ、十字線は、チャートを見るうえで要注目です。
これらは通常のローソク足とは違い、相場が迷い始めていることを示しています。
よって、これらの後の値動きは要警戒で慎重にしていいと思います。
実際今回の事例も、翌日は高値更新しましたが、それ以上は伸びませんでした。
相場が包み線を出して迷ったということは、買い手に迷いが出てきているかもしれない。
となると、上昇が続きにくくなったかもしれない、と考えることができます。


ご参考になれば、幸いです。

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田向宏行

Author:田向宏行
たむかい ひろゆき
大学卒業後、資格試験に挑戦するが挫折。就職できず仕方なく起業。事業経営の間も金や株に投資。
事業譲渡後の現在は個人投資家。
2010年1月号から月刊 FX攻略.com でコラム連載。
2011年3月からディーラーズ・バトルでもマーケットの動きついて発信。
相場関連はツイッター(@maru3rd)をご覧ください。

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